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THE BOOK OF TEA

岡倉天心著(宮坂智博訳)


茶ごころ

ー 文明の美学 ー

まえがき

伍浦(いづら)の海に出て、日々天心は釣り糸を垂れたという。
太平洋の波間に、美学としての宇宙を感じ、遠く亜米利加や支那に想い
を馳せていたに違いない。
この『The book of tea』は岡倉天心が明治39年に著したものである。

第一章は、茶碗への飽くなき魅力、茶碗に盛られた人の柵(しがら
み)を想う。
第二章は、茶道の由来を道教と禅道から解き明かしている部分であ
る。
第三章は、茶人の流派について述べたものである。
第四章は、茶室について論じたものである。
第伍章は、芸術家魂あるいは芸術家精神と
第六章は、花の効用を物語る。
第七章は、千利休を物語る。

最終章の千利休は、天心の生きざまと重ね合わせていたのではないだ
ろうか。
移ろい行く人のこころ、茶に託す人の有り様、その柵を盛る茶碗、それ
は一体となって日本の伝統となる。
明治期にあって、大陸での殺戮に心痛め、近代文明の持つ野蛮性に
警鐘を持ちえたという意味で、その卓越した先見性には歴史への審美眼
とも言うべきものを感じる。
岡倉天心は怒涛のような明治を駆け抜け、大正2年に没した。
西欧文明に媚びることなく、亜細亜の悠久の歴史に身を置いて、普遍
的な文明の神髄を論じたかったのではないだろうか。
茶会を通して見える人の柵、そこから浮世の普遍性が垣間見える。
簡潔で非常に格調の高い英文である。読み終わった後で、一服のお茶
を味わったような清々しい気持ちにしてくれる。
『The book of tea』は香り高い日本文化を知る文芸書の一冊である。
亜細亜文明から滾々と湧きあがる溢れんばかりの高い精神性を感じる。
THE BOOK OF TEA
茶ごころ

Tea began as a medicine and grew into a beverage.
茶は薬として用いられ、のちに飲み物となった。

In china, in the eigth century, it entered the realm of poetry as
8世紀の中国では、お茶は優雅な趣向として、詩歌の領域に入った。

one of the polite amusements.

The fifteenth century saw Japan ennoble it into a religion of
日本における15世紀は、茶道を美学の極致へと押し上げた。

aestheticism-teaism.

Teaism is a cult founded on the adoration of the beautiful among
茶道は、日常茶飯事の雑事のなかに趣を見出し、美を札賛してやまない

the sordid fact of everyday existence.
作法を旨としている。

It inculcates purity and harmony, the mystery of mutual charity,


the romanticism of social order.



亜米利加 America 南北アメリカ大陸の総称。コロンブスより少し遅れて
渡航したイタリア人アメリゴ=ヴェスナプッチの名に由来する。
Amerigo Vespucci) アメリカ合衆国の通称

支那ということばは、梵語(サンスクリット)の経典の中にある中国を表
わす「チーナ・スターナ」を当時の中国人僧が「支那」と当て字したこと
に由来する。

西欧 欧州の西部諸国
当時の国際関係を鑑みると、西欧、南欧、亜米利加、北欧・東洋(ビザン
チン文明諸国)、イスラム諸国、亜細亜に大別される。宗教的には、カト
リック・プロテスタント、ギリシャ正教、イスラム、仏教・儒教の宗教圏になる。

柵(しがらみ)水の流れを塞ぐために、杙を打ち並べて、これに竹木を横た
えたもの、引き止めるもの
a wire;an obstacle to love 恋のしがらみ
obstacle 障害物、故障、じゃまもの an obstacle to progress 進歩の邪魔
a cup of humanity;引き付けて止まぬ茶碗、茶碗の魅力(そこに垣間見え
る茶ごころ)
千利休(1522〜91)姓は田中、堺で魚及び塩の問屋を営む富商である。
與四郎(よしろう)といい、宗易(そうえき)と号す。北向道陳に茶湯を
習い、ついで紹?(しょうおう)に師事した。信長のもとで茶事に携わり、
秀吉に茶頭に登用され、「侘び」を基調とする草庵茶湯を大成し、「天下
一宗匠」として、茶湯会の最高峰の地位を得た。
秀吉の側近として政治にも参画、そのため秀吉と対立、自刃。
美学 自然及び芸術における美について研究する学問。審美学
審美学 美と醜を識別する学問
怒涛 angry waves;raging waves;surging waves;a high sea;rough waters
怒涛を冒して進む advance in the face of high seas  




tea 1.茶の木、茶(tea plant) 2.茶の葉、茶(tea leaves)
pick tea(茶摘)、black tea(紅茶)、dust tea 粉末
make tea 茶を入れる
offer tea (訪問客に)お茶を出す
whip tea 茶をたてる 





grew grow grew grown
grow into (次第に)...になる、変じる
The olive grows in the shoudo island.(オリーブは小豆島に 
できる。)
realm 王国、国土、範囲、領域
polite 優雅な
amusements 趣向 おもむき、こころざし、しくみ、考え、工夫
ennoble 気高くする、高潔にする、爵位を授ける、貴族に列する
religion 宗教、信心、信仰、発心、宗派、出家、信仰の念
The fifteenth century saw Japan ennoble it into a religion of
aestheticism-teaism.
直訳)日本に見られる15世紀の茶、それは茶道という美学の信仰の域
   にまで昂められた。
adoration 尊崇、崇敬、あこがれ、敬慕、敬愛、熱愛、祈り
sordid きたない、むさくるしい、あさましい、さもしい
cult 礼拝、儀式、祭式、崇拝、あこがれ、
inculcates 反復して心に植えつける、教え込む、説き明かせる、
     注入する、説き勧める、しいる 
purity 清浄、清潔、潔白、純粋さ、祓い清め、禊
harmony 調和、調子、諧調、一致、誘致、融和、対観書 
    the harmony of the spheres 天空の音楽
spheres 























































































































































































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